2016〜2018年式のVW(フォルクスワーゲン)は2026年現在、ちょうど8〜10年落ちを迎えます。ショックアブソーバーの交換推奨タイミングと重なるこの時期、「乗り心地が変わった気がする」「段差でゴトゴト音がする」といった症状はショックの劣化から来ている可能性があります。本記事ではゴルフ7(5AU)・パサートB8(3G)・ティグアン2世代(AD)の型式別に、サスペンション形式・交換時の注意点を解説します。
1.VWの「しっかり感」が薄れてきたら
VW(フォルクスワーゲン)のクルマは、過剰な演出がなく、走らせるほどに質の高さが伝わってくる設計が特徴だ。裏を返すと、劣化も派手には現れない。ショックアブソーバーの減衰力低下は緩やかに進行するため、「なんとなく以前より乗り心地が固くなった気がする」「段差でゴトゴト音がするようになった」といった変化が最初のサインになることが多い。
一般的な交換推奨目安は走行8〜10万km、または使用開始から8〜10年とされています(※1)。2016〜2018年式のVWは2026年現在、この両方の条件に差し掛かっています。
コーナリング時のロールが増えた
VW本来の「余計な動きのない素直な挙動」が失われてきたサイン。減衰力の低下が原因
段差でのゴトゴト音・突き上げ
オイル漏れや内部劣化による底付き。「ゴン」「コトコト」という音として現れる
直進安定性の低下
高速道路でのふらつきや修正舵の増加。日常域から高速域まで幅広くカバーするVWのバランスが崩れてきているサイン
タイヤの偏摩耗
接地性の低下による波状摩耗・片側摩耗。タイヤを替えても再発するなら足回りを確認
※1 交換目安の参考:SACHS技術資料および一般的な整備基準に基づく。使用環境・走行条件により異なります。
VWのショック劣化は「壊れた」という感覚よりも「なんとなく以前と違う」という感覚から始まることが多い。購入から8年・走行8万kmを超えたVWは、一度足回りの点検を受けてみる価値がある。
2.VWとSACHSは、もともと同じ供給ラインにある
VWとSACHSは、ともにドイツを拠点とするブランドだ。ZF SACHSはVWグループをはじめとする欧州自動車メーカーに純正部品を供給するOEMサプライヤーのひとつであり(※2)、両者は製品の供給という形で長年つながってきた。
近年でも ZF SACHSは、レーストゥアレグに高性能なクラッチとショックアブソーバーを供給し、VWモータースポーツの3連覇(2009-2011)に貢献した。
VWが「質実剛健」を掲げるのと同様に、SACHSの補修品はOEMサプライヤーとしての製造基準に基づいて作られており、派手さより信頼性を重視した設計思想が共通している。ゴルフやパサートといった日常使いが多い車種に、長く使い続けられる補修品としてSACHSが選ばれる理由はここにある。
VWグループへのOEM供給実績
VWグループ・BMW・Mercedes-Benzなど欧州主要メーカーへの純正部品供給実績を持つ(※2)
WRC・ル・マンでの技術供与
F1・WRC・ル・マン24時間レース・ダカールラリー等での技術供与実績(※3)
補修品の品質基準
OEMサプライヤーとしての製造基準に基づいた品質管理で補修品を製造
同じドイツ・ZFグループ
1895年創業のSACHSは現在ZFグループの一部門。本社はドイツ・シュヴァインフルト(※2)
※2 出典:ZF Friedrichshafen AG 公式ウェブサイト(zf.com)および SACHS 製品カタログ
※3 出典:ZF RACE ENGINEERING 公式ウェブサイト
SACHSオンラインストアで部品を購入し、お近くの整備工場へ持ち込むことで、品質を維持しながらディーラーでの交換より費用を抑えられる場合があります。(但し、持ち込み対応の可否・工賃は整備工場へ事前にご確認ください)
3.全車種共通:型式・サスペンション基本情報
2016〜2018年式VWの型式とサスペンション形式を整理します。サスペンション形式はVW公式資料および国内登録データに基づいています(※4)。
| 車種 | 型式(2016〜18年式) | サスペンション形式 |
|---|---|---|
| ゴルフ7(ハッチバック) | 5AU(MQBプラットフォーム) | F:ストラット / R:トーションビーム(標準)またはマルチリンク(GTI/R) |
| ゴルフ7 ヴァリアント | 5AU(ワゴン) | F:ストラット / R:トーションビーム |
| パサート(セダン) | 3C(B8) | F:マルチリンク / R:マルチリンク |
| パサート ヴァリアント | 3G(B8) | F:マルチリンク / R:マルチリンク |
| ティグアン(2世代) | AD(MQBプラットフォーム) | F:ストラット / R:マルチリンク |
※4 出典:Volkswagen AG 技術資料、および国土交通省 自動車登録情報に基づく型式確認
パサートB8・ティグアン2世代の一部グレードにはオプションでDCC(電子制御式可変ダンパー)が装着されています。DCC装着車は通常の固定減衰力ショックとは異なる対応が必要な場合があります。VINで必ず確認してください。
4.5AU(ゴルフ7)2016〜2018年式
ゴルフ7(5AU)は2012〜2019年に販売され、MQBプラットフォームを採用したVWの主力コンパクトカーです。2016〜2018年式は後期型にあたります。リアサスペンション形式がグレードによって異なる点が最大の注意点です。
ゴルフ7 品番確認の注意点
- リアサスペンション形式がグレードで異なります——標準グレードはトーションビーム式、GTI・GTE・R・Rラインはマルチリンク式。品番がまったく異なります
- ハッチバック(5AU)とヴァリアント(5AU)で品番が異なります
- 4MOTION(4WD)とFFで品番が異なります
- Golf R(5AU)は専用品番——通常グレードとは別品番です
- DCC装着車は要確認——一部グレードにオプション設定あり
ゴルフ7は同じ型式「5AU」でも、標準グレード(トーションビーム式)とGTI/GTE/R(マルチリンク式)でリアサスペンション形式がまったく異なります。見た目では判断できないため、グレード名またはVINで必ず確認してください。
5.3G(パサートB8)2016〜2018年式
パサートB8(3C/3G)は2015年に登場した8世代目パサートです。MQBプラットフォームを採用し、前後マルチリンク式サスペンションを全車に搭載しています。2026年時点でちょうど8〜10年落ちとなります。
パサートB8 品番確認の注意点
- セダン(3C)とヴァリアント(3G)で品番が異なります
- 4MOTION(4WD)とFFで品番が異なります
- DCC(電子制御ダンパー)装着車は要確認——DCC装着グレードはオプションで選択可。VINで確認が必要
- パサート GTE(PHEV)は専用品番の場合があります
- 先代B7(型式3C前期)との互換性はありません
パサートB8はVWグループのMQBプラットフォームを採用しており、前後ともマルチリンク式という上質なサスペンション構成です。劣化すると高速域での安定性や乗り心地への影響が大きく出るため、8年・8万kmを超えた個体は点検を推奨します。
6.AD(ティグアン2世代)2016〜2018年式
ティグアン2世代(AD)は2016年に登場したVWのコンパクトSUVです。初代(5N)からMQBプラットフォームに刷新され、サスペンション形式が大きく変わっています。2026年時点でちょうど8〜10年落ちとなります。
ティグアン2世代 品番確認の注意点
- 初代ティグアン(5N)との互換性はありません——プラットフォームが別物です
- 4MOTION(4WD)とFFで品番が異なります
- DCC装着車は要確認——オプション設定があるためVINで確認が必要
- ティグアン・ロングホイールベース(7人乗り)は別型式——AD系でも一部市場向けの派生車があります
- VINでの照合を強く推奨——2016〜2018年式は生産初期にあたり、仕様変更がある場合があります
7.交換費用について
交換費用は「部品代」と「工賃」の合計です。工賃の参考値としてカーコンビニ倶楽部の公式料金表(※5)をもとに示します。
| 作業内容 | 料金目安(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| フロント・ショック交換+トーイン調整〈輸入車〉 | 10,450円~/本 | ※マルチリンク車は追加料金あり |
| リヤ・ショック交換〈輸入車〉 | 10,450円~/本 | ※マルチリンク車は追加料金あり |
| 組付済サスペンションセット〈輸入車〉 | 35,200円~/セット | ※車高調・スプリングとショック組付済品 |
上記はカーコンビニ倶楽部が公式サイトで公開している「作業料金の目安」です。他の整備工場・ショップがこれに近い価格であることを保証するものではありません。必ず事前に作業を依頼する工場へお問い合わせください。
※5 出典:カーコンビニ倶楽部 公式サイト「サスペンション修理・交換」料金表(carcon.co.jp)。表示料金は税込の作業料金目安。部品代は別途。
VWの場合の追加考慮事項
- マルチリンク車は追加料金が発生する場合があります——パサートB8(前後マルチリンク)・ゴルフGTI/R(リアマルチリンク)・ティグアン2(リアマルチリンク)が該当
- アライメント調整は交換後の必須作業です——工賃とは別途発生します
- 部品代はSACHSオンラインストアへお問い合わせください
8.交換の流れ・VW特有の注意点
VINで適合品番を確認する
VIN(車台番号)はダッシュボード左下またはボンネット内のプレートで確認できます。VIN・年式・グレードをSACHSオンラインストアへお問い合わせいただくことで適合品番を確認できます。
SACHSオンラインストアで部品を購入する
適合品番を確認後、SACHSオンラインストアへご注文ください。在庫状況・納期・価格は担当者がご案内します。
VW対応の整備工場へ持ち込む
輸入車対応の整備工場またはVW専門ショップに部品を持ち込んで交換を依頼します。事前に持ち込みの可否と工賃の見積もりを取ることをおすすめします。
アライメント調整を必ず実施する
ショック交換後はアライメントが変化します。タイヤの偏摩耗防止・直進安定性確保のためアライメント調整は必須の作業です。
VW特有の確認事項
- アッパーマウントの同時点検を推奨——8〜10年落ちではアッパーマウントも劣化していることが多く、ショック交換と同時の確認・交換が効率的です
- DCC装着車はコーディングが必要な場合があります——VW専用診断機(ODIS等)が必要なケースがあるため、VW対応工場に確認してください
- ゴルフ7のリアサス形式を交換前に必ず確認——トーションビームとマルチリンクで品番がまったく異なります